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執筆者の写真尾柳知佐子

若年者の頭痛が増加傾向?

当院は偏頭痛など含めた頭痛外来をしております。

脳神経内科専門医の資格を保有した医師2名体制で診療にあたらせて頂いております。

頭痛と一口に言いましても、脳内に占拠性病変がある場合(稀ですが脳腫瘍など)、脳内の血管に異常がある場合、耳鼻科的疾患で炎症が副鼻腔などにある場合、

髄膜炎という脳の膜の炎症による発熱を伴うもの、

頭部CTやMRIなどで検査を必要とするような頭痛は多くはないものの

こういった疾患が疑われる場合は画像診断は必要になってまいります。

当院では頭部CTを完備しておりますので、緊急性がある病態であるかどうかの迅速な判断のもとに、より高度な専門機関を受診していただくべきかを判断して対応しております。

必要に応じて迅速な血液検査も併用し、よりその診断の精度を高めるべく診療にあたっております。


ただ1番多いケースはやはりいわゆる「片頭痛」と言われる病態かと思います。

数十年前では未成年の肩が凝っている事は少なかったのですが、今やスマホ時代であり中学生にもなれば肩こりは大人並みの子たちが多い印象です。

なので肩こりがひどくなりそこから頭痛に進行していくということが日常よく遭遇されるので肩こり頭痛であると診断を受けている未成年者が多いように感じています。

ただ片頭痛という病態をほぼ持っていない子たちであれば、頭痛で学校に行けないほど苦しんだり、その回数が頻繁だったりすることは稀のように思われますので

頭痛で何度か病院を受診している人たちはベースに片頭痛という病態を持っている可能性が高いだろうと考えています。


目がチカチカするような前兆の後に頭が割れるようにズキズキする痛みが生じるようなら片頭痛で間違いなさそうですが

そういった前兆がない場合は、首こりから始まって頭がぎゅっと掴まれたように痛いという表現をされたりする場合は、「筋収縮性頭痛」という診断名になってしまうこともあります。

ただ雨の前には頭痛が出ることが多いとか、女性であれば月経と関係しているとか、匂いなどで誘発される、あるいは人混みで痛みが出る

などといった決まったパターンがあるケースでは片頭痛が関係している可能性があります。


頭痛が繰り返される場合、大切なことは

1)一度は頭痛外来を受診し、頭の中に占拠性病変などがないかどうか画像検査を含めた検査を施行しておく

2)自己判断で市販薬を使用し、それが常用化し乱用していくことがないようにする。市販薬を使う前に病院でなるだけシンプルな鎮痛薬をチョイスしてもらい、必要であれば片頭痛に使用されるトリプタン製剤を用いる。あるいは子供でも使えるような頭痛予防療法として薬物療法なども選択肢として考える。

今では18歳以上であれば、片頭痛が起こる機序がある程度解明された結果、関与する物質をブロックしてくれる製剤の投薬も選択肢として上がってきます。

とにかく漫然と効果がないのに鎮痛薬を飲み続けるということはなるだけ避けましょう。


今では使える薬剤も増えてきました。

慢性頭痛とは1ヶ月の半分以上は頭痛が起こり、薬でコントロールがうまくいかない状態です。

お困りの時はどうぞご相談をして下さい。

頭痛が慢性化することで、生活の質が極端に下がっている方は少なからずいらっしゃいます。

頭痛患者さんは自分の薬の飲み方のせいでこうなっているんだ・・とか、あるいは肩が凝りすぎているからこうなっているんだとか・・

自分を責めている方が多いことを実感します。

誰も病気になりたくてなっているわけではありません。

頭痛というのはその方がもつ持病です。

だからご自分を責めることなく、どうぞ専門機関の門を叩いてくださいね。




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