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第9波の感染者数が恐らく最も多いことについて

この夏は猛暑というか酷暑で、これからこんな夏が増えるのかな?と思うとちょっと憂鬱になります。


さて今年の夏はここ数年毎年のようにあったコロナの流行と、そして今までに例を見ないインフルエンザA型の流行が重なりました。

新型コロナは去年までだったらそろそろ数が減ってきてもいいのですが、今年は減少することなく同程度の数の方が毎日いらっしゃる印象です。

体感としては昨年と同様なので、実際には来院されず自宅療養されたり、そのまま通学・通勤されたり、あるいは自分で検査をして判断されたりという方も大勢いらっしゃるので

8波よりは感染者数は多いのだろうと予想します。


平常外来で患者様から「今ってコロナはどんな感じなんですか?」とご質問されることも多く、わたくしが「おそらく過去一番流行しているんじゃないかなー」とお答えすると「えええ??」とおっしゃる方も。

ご自分の周りで感染者がいなければ実感することはできませんね。

だから「一体どこで感染したのか全くわからない」とか「周りに風邪の人はいなかったと思うけれど・・・」というコロナ陽性の方も増えてきました。


症状の程度というと様々であり、外来通院できるレベルの高齢者の方は非常に軽微な印象。

激しい免疫反応を起こさないからなのか、あるいはかなりの回数のワクチンを打っているからなのかはわかりません。

若い方は総じて高い熱が出、数日で食事も取れるようになるように思いますが

2割程度の方はしつこい咳が続いたり、頭痛が続いたりなどで再び来院されたり、電話相談をしてこられます。

多くの方はワクチン接種は2回から3回程度です。若年から中年の方で4回まで接種している方は少ないと感じます。

また未接種のかたが意外に多く、統計から見ると未接種者は少ないはずなので、やはり未接種の方はかかりやすいのか(統計上は事実のようですが)、あるいは未接種の方は若干感染防御もあまりされていない傾向にあるからなのか、それもわかりません。

ただ複数回(2回から4回)の感染者は圧倒的に未接種の方に多いのは事実で

特に3回以上感染された方は今のところ全て未接種者でした。


重症化して入院になる方は若年者ではほぼいない印象ですが、中年以降になると呼吸困難などは少ないですがあります。

また高齢者でも免疫力が下がっている方では入院になることが多く今回の波では多くの主治医をさせていただいている患者様が入院されました。

高齢者は一旦入院になると退院して自宅に戻れることは難しくなったり、非常に時間がかかったりします。


先日、イギリスから

brain fogという頭がモヤモヤした症状や呼吸困難という後遺症は

血栓が原因の可能性が高いということが報告されていました。

わたくしは専門が脳神経内科ですので勤務医時代は多くの脳梗塞や脳出血などの方々を担当してきました。

脳梗塞後などは、梗塞の範囲が非常に小さくてもその後頭がぼやーっとする、あるいは気分が沈むなどといった事を経験します。実際に頭の奥の小さいエリアのみの脳梗塞であっても大脳の広い領域の血流が低下することは知られています(頭はネットワークにより様々な領域同士が連絡を取り合っていますので)

血栓が体の中でできやすい状態というのは、血が固まりやすくなる状態であり、血液検査でマーカーとなる項目があります。

新型コロナが流行し始めた当時は、リスクの高い方で抗凝固療法を導入するということが推奨されておりました。

それでも残念ながら多臓器不全で亡くなる方が本当に多い怖い疾患でしたが・・・。

オミクロン株になってその特徴は持ちながら当初ほどは血栓による死亡というところまでは行きにくくはなりました。

ただ血管で炎症を起こすという特徴がなくなったわけではなく、新型コロナが持つスパイクタンパクが引っ付く部位が血管や脳内に存在していることは間違いありません。


人が生きていくのに不要な臓器や構造物などないですが

頭というのは再生が効かず一度壊死してしまうとそこはもう不可逆となります。

なのでもし大脳が萎縮したらもうそれが戻ることはないし、壊死した部位はその組織は無くなってしまいます。記憶を司る脳細胞が死んでしまったら記憶力が低下するのはもちろんですし集中するのに必要な部位が死んでしまったら集中力は低下するでしょう。


こんなウイルスがあり続けることを考えるとゾッとしますし、将来を悲観することも時にあります。

私のようなもうすぐ60歳を迎える年齢ならばある程度仕方ないとも割り切れるところはあるのかもしれませんが、

危惧するのは子供達の将来です。

子供達はこれから何度でもこの新型コロナに感染し、もし不可逆的なダメージを複数回受けたらどうなるのか?

彼らが健やかに生きていける世の中は実現できるのか?と。


欧米の状況を見ているとマスクはつけず感染防御のない状態で何度も感染している方が多いのであろうと思います。

イギリスなどではだからこそ大勢がかかり、その大勢の感染した方々のデータをとり、頭の状態の経時的変化を示すことが容易いのであろうと思います。

それでもあえて感染防御を国が推奨しないのは、この疾患と共にやっていくしかないからというところでしょうか。

皆が死んでしまうほどの感染症ならロックダウンせずとも淘汰されていくでしょうし、新型コロナ初期のような医療崩壊を起こしてしまうほどの死者が出る、一方で9割の人は助かるという状態なら一時的ロックダウンをせざるをえなかったでしょう。

でも今や死ぬことはほとんどなくなり、医療崩壊をするほどの重症者も減りました。

後遺障害が経済にあまりに悪影響を与える状態なら国もまた動き出すのかもしれませんがそれがわかるのはもう少し先になるでしょう。

でも後になって、「そんな後遺障害は聞いていなかった」「こんなにしんどくなる病気って知っていたらもう少し気をつけておきたかった」という方が増えないことをただただ願うばかりです。


ワクチンをうつのか否か、マスクをつけておくのかどうか。

それはもう個人で決めていくことになります。

情報を一部の極端な発言者から得ることなく、広い見識で判断していただきたいなと思います。


ちなみにわたし自身はまだ感染はしておらず

できることなら今後も一度も感染したくはないと思っています。

そのために日常でめちゃくちゃ我慢していることがあるわけではありません。

大勢の人がいても換気が良ければOK。(大抵はマスクはしていますが)

たとえ屋外であっても近い距離ではノーマスクでは人とは会話をしないなど。

その程度の注意しかしていません。

これで感染したらそれは仕方がないなと思っています。


どうぞ皆様気をつけてお過ごしください。






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