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執筆者の写真尾柳知佐子

決して軽症な風邪ではありません

軽症であるという言葉が一人歩きしてしまった「オミクロン」

もちろん医療従事者もその言葉に期待を寄せました。

こんな世の中が続いていることの非現実感が未だに拭えませんから。


でもイスラエル・イギリス・アメリカなどの例から

デルタ株に比べると感染力は3〜5倍、しかし入院率・重症化率・致死率などは

3〜4分の1程度ということでした。

結局たくさんの方がかかったらいくら重症化率が低いとは言え

普通の風邪とは全く違った確率で亡くなるのだから、流行してしまえば

医療崩壊はあっという間にしてしまうとは危惧されていました。


で実際今の日本の状況はどうでしょうか。

つい数週間ほど前は若年層で拡大しました。

確かに彼らはインフルエンザのような症状の方が多く、咳が残る方も結構おられました。

若者ですら通常の風邪やらインフルエンザを長年診てきた開業医にとって

オミクロンは「普通の風邪」ではありませんでした。


そしてここ1週間程度で急激に高齢者に広がりを見せています。

その広がりは物凄いと言っていいでしょう。

今まで私が担当する患者さんがリアルタイムに感染し入院しなければいけないという事はデルタ株までは稀でした。

ところがオミクロン流行になり、わたくしの院内でおこなっている抗原検査やPCR検査での陽性率は明らかに増えました。

そして高齢者の方々がコロナ陽性になったという連絡がたくさん入るようになりました。

施設入所者であったり、家庭内感染であったり、経路不明で自宅で倒れられて救急搬送になったり・・

一開業医の私が知るだけでもデルタの時とは比べ物にならないくらい増えていることを鑑みますと

今後犠牲となる方が増えるのではないか?

高齢者施設での陽性者もすぐに入院になる事なく施設内で過ごしておられたり

医療は明らかに逼迫しています。

今までの感染対策では明らかにすり抜ける形で感染が起こっています。


ウイルス排出量ピークがデルタ株では発症前でしたが

オミクロンでは発症後しばらくしてからというデータがあります。

当院でも明らかにオミクロンと考えられる接触歴などがありながら抗原陰性・PCR陰性の方もおられます。

数日してから陽性となる例も多く報告されており

抗原が1度マイナスだからと、自分はOKだと思い人と会ったりしないようにすることが大切かと思われます。

デルタ株よりは有症状者が他者に感染させているオミクロンですので

より自覚を持って、喉が痛いなどの軽微な風邪症状であってもマスクを外して周りの方と接触しないように気をつけるべき時だと思います。


3回目のワクチン接種で

重症化抑制率は非常に上がることが数々の論文で報告されております。

2回で終わると思っていたのに・・・。3回目なんて嫌だと思われる方もいるでしょう。

一体何度打たないといけないんだと怒っておられる方もいるかもしれません。

でも未知のウイルスが色々な形を変えて向かってくる以上

絶対真理など今の所はなく、怒ってみたところで自分には何の得もなく

そしてその対策をしてきた誰かが悪かったということにもならないと思います。

誰も悪くありません。

未知のウイルスが形を変えてやってきて、それに対していかに処するのか

柔軟に対応することが私たちにできる事であって

誰か(例えば政府)を槍玉にあげて、非難してご自分の体を危険に晒すことはあまりにも悲しい行為と思っています。

唯一私が腹立たしいなと思うことは

知事を初め、情報発信を正しくせねばならない人たちが

正しい情報をきっちりキャッチしていないと感じることが多い。

日本語になった論文などに目を通し、科学的にどう処するのが経済的にもそして人命にもダメージが少ないのか

ワンサイドではなく、もっとサイエンティフィックに判断できる叡智を備えていただきたいと願います。

この形を変えてくるウイルスに対して、サイエンスを舐める気持ちを持って処せれば

大変なことになるかもしれないという危機感がちゃんんと持てる方でないと

知事などをするべきではありません。


学歴などではありません。今何が起こっていて、今刻々と報告されている事象をどれだけ掌握できるのか、自分にその能力がないのであれば、それができる本当に信頼できるブレインを傍に置くべきでしょう。

論文を読まないブレインは今の世の中にはいりません。




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