緊急事態宣言が出されて約3週間です。感染者数は減りつつある感じですが、やはり3密を避けられない空間である、病院内・高齢者施設・そして家庭内での感染が目立つようになってきました。
もしソーシャルディスタンスがとられていなければ、市中にもっともっと広がっていたでしょう。
なのでこの接触機会を減らす対策は有効であるし、また絶対に必要なものだと言えます。
感染者数の推移をみて段階的に緊縮体制を緩めていかざるを得ません。それは緩める方にだけ向くのではなく、逆戻り以上のもっともっと厳密な体制となる可能性もあります。
この第2波は欧州から入ってきたものだと、ウイルスの遺伝子解析から予想されているという報告がありますが、確かに第1波よりも重症化・死亡者が多いように思います。
中でも、亡くなっていて調べたらコロナだったとか、自宅待機中に急変して亡くなったという、1月から2月に武漢で報告されていた突然バタンと倒れて亡くなったり、痙攣をおこしたりといった事例と重なるような患者さんの報告が多くなってきました。
武漢での多くの犠牲者などからの病理解剖から、肺は炎症が強くて水浸しのようだった・心臓の筋肉の障害が激しかった・腎不全にあっという間にいたり透析を必要とするほど腎障害が激しかった・・といった報告がありました。
イタリアからも「肺炎ではなくて肺の血管がつまることによっておこる低酸素が死亡する原因だ」といった報告がされたりもしています。
もう皆さんご存じだと思いますが、このウイルスのやっかいな性質は、人間の全身にある血管という血管に炎症を起こしうるということです。
そしてその炎症により血液成分の異常が起こり、非常に固まりやすくなり
血栓という形で、人々を急変という形で襲うのだとわかってきました。
足には太い静脈があります。静脈というのは流れが基本的に悪いので、全身の血管炎症などが起こるととても影響を受けやすい部位です。
深部静脈血栓(DVT)と言って、ずるずると血栓が数珠つなぎのようにつまっていくこともあります。
この静脈がつまると足は腫れますし、何より足が痛いです。
そこで作られた血栓がはがれると、まず静脈は心臓の右心房に帰っていきます。
そして右心室から肺動脈というところを通って肺に送られます。(酸素が足りなくなった血液を肺で十分酸素化するためです)
血栓が小さいと微小な肺動脈塞栓という形でしょうが、大きい塞栓が飛ぶと突然死に近いくらいのダメージで人間は倒れこみます。
頭にも動脈と静脈があります。皆さんがイメージされる脳梗塞というのはほとんど動脈がつまったことによって起こる麻痺や言語の障害ですが、このコロナウイルスは、静脈梗塞が報告されています。
動脈とはまた違うパターンで梗塞が起きるため痙攣から始まる人も多いことが予想されます。
また動脈内に血栓ができ始めると、多くは心臓や心臓から出る血管に作られますが冠動脈がつまったら心筋梗塞、心臓にできた血栓が脳に飛べば脳梗塞、肝臓なら肝梗塞、腸の血管なら胃腸が壊死します。
要するに急変と血栓は密接に関係していそうです。
重篤化する方は入院早期から採血で血液凝固系に異常があることは武漢での報告でわかっていました。
呼吸器管理はもちろん大切なのですが、同時にこの血栓を体中につくりあらゆる臓器にダメージを与えてしまう病態をしっかりとらえ治療することがとても大切です。
欧州では、血液凝固の異常サインが認められたり、あるいは肥満などのハイリスクの人では
ヘパリンという血を凝固させない薬を使っています
日本でも使われています。
フサンも同様の効果が期待できます。
ただヘパリンもフサンも注射薬であるため
内服薬である抗凝固薬も使われ始めています。(リクシアナ・エリキュースなどといった名前の薬です)
アビガンばかりが注目されていますが、少なくともアビガンはウイルスを増殖させないという目的では威力は発揮できるかもしれませんが
ウイルスが一旦増殖し始め、血液凝固系の異常が起こり始めたら
むしろ既存の治療の方が効果が上がるのかもしれません。
アビガンは新薬であり、まだ投与された人の実態は未知です。現在わかっていないような副作用もあるのかもしれません。
すでに重症化している人には、リスクと効果のバランスから「投与してみよう」となることは想像できますが、
軽症者の場合、投薬なく改善される方が圧倒数を占めるとなると
誰にでもアビガンを!という声は危険だと思います。
いま世界中で有効な治療方法が考えられ、日々更新・報告されています。
半年もたてばかなり有効な治療法が確立されているかもしれません。
命がなくては経済も回すこともできません。
まず命を大切に。
ソーシャルディスタンスを。永遠に続くものではありません。
アフターコロナは必ず来ます。3密を避け、手洗いの徹底を!!
お願いします。
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