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新しいパーキンソン薬発売されるも使用できる医療機関に制限が・・・

執筆者の写真: 尾柳知佐子尾柳知佐子

ヴィアレブという新しいLdopa/DCIの持続皮下注製剤の発売が決まり

脳神経内科医としては、「やったーーー!」と実に嬉しく心待ちにしておりました。

さくら内科クリニックではパーキンソン病患者様の多くは発病から10年以上経過しており、20年以上の方も大勢いらっしゃいます。

ですので、現存の内服薬のみではコントロールも難しいことが多く

一つでも選択肢が増える治療薬として非常に期待していました。

患者様にも、ようやく比較的簡単に導入できる持続型のL dopa製剤の登場に

「楽しみにしていてくださいね」とお声かけもしておりました。


ところが、この製剤は胃に穴を開けて空腸にカテーテルを留置し行うデュオドパと比べると、侵襲がなく簡便ではありながらも、皮下に針(数mmm程度)を刺した状態で日中を過ごしますので

どうしてもその部位が動かされ皮下で感染を起こし、ひどくなると膿瘍形成などが起こり

切開して排膿しないといけないという事例が報告されておりました。

これによるドロップアウト(途中でやめてしまう)の方々が増えたという背景もあり

まずは厳密に臨床試験などに携わった医療機関での導入から開始となり

外来レベルでも対応可能になった時点でかかりつけ医への紹介などを可能にしていくのかどうか?という話になったようです。


ですので、当分はクリニックレベルでは開始できず

また滋賀県ではまだ施行できる施設も決まっていないのが実情となってしまいました。


患者様には期待をもたせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。

脳神経内科医として30年以上パーキンソン病の方の治療に携わってきました。特に開業してからは同じ患者様の病気の進行や変化とともにどのように体調が変わっていかれるのかというのを目の当たりにするようになり、

時には在宅診療も行いながらパーキンソン病の方々の始まりからその最後の時までに立ち合わせていただくことも多くなりました。


今や様々な疾患の治療薬の進歩は目覚ましいものがあり、パーキンソン病薬についても期待を寄せたいところではありますが、どうしても頭の中で起こる「神経変性」という大きな問題を根本から改善する画期的な薬剤は今のところはなく

患者様が呈する症状をいかに薬でコントロールしていくのか、いかに患者様が日々穏やかにご自宅でご家族の方々と安全に過ごせるのか・・

それが大きな課題であり、それこそがとっても大切なことだと思っています。


とかくテレビなどでは、何か侵襲のある治療を行い、一過性に劇的に良くなった方々などが取り上げられますが、その方々の1年後、3年後、5年後がどうなっているのか

それを考えた時に、一瞬の良い場面だけを取り上げて欲しくないと思います。

人生は長く、一日一日の生活の営みは気が遠くなるほど地道で長いものであります。

食事、着替え、入浴、排泄など人が当たり前にできていることが時にできなくなったり

家族にお願いしたくてもできない場合や、あるいは家族が一心にそれを引き受けてしまっていることがあったり

神経難病という病と戦っている方々そしてご家人の辛さは想像を絶するものだと感じております。


ですので、パーキンソン病の方のQOLがすこでも上がる可能性がある薬剤については

もう少しその運用については寛容にしていただければと願うばかりです。

夜間の頻繁なお手洗いの移動などで患者様、家族ともに疲弊してしまうケース。

食事の際に完全なオフになり、食事に1時間から2時間かかってしまうケース。

24時間の生活の中で一部の時間でも安定したLdopa/DCIの投薬ができたら、QOLが上がるのではないか?と期待していただけに本当に非常に残念です。


ただ今後どうなっていくのかはまだよくわかりません。

外来での導入などが開始になれば、当クリニックでも使用を開始したいと考えております。


パーキンソン病、パーキンソン病関連疾患、またその他の神経変性疾患に罹患されている方々へ、、

私からは「頑張ってください」なんて言葉をかけることは到底できません。なぜなら日々頑張っておられますので。

ただ医者・看護師・理学・作業療法士・介護士・ケアマネージャーなど皆が

できうる最大限の何かをご提供し、共に歩んでまいりましょう。






 
 
 

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