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執筆者の写真尾柳知佐子

パーキンソン病の方が安楽死を選択されたというニュースが


ネットを見ていて上記の記事を見つけました。

パーキンソン病の女性がスイスで安楽死を選択されたとのこと。

どう表現していいのかわからないような胸が苦しくなるような

そしてその女性の心に私の思いを馳せようとしてもそこにはどうやっても届かないような

そんな気持ちになりました。


私は脳神経内科医として30年以上過ごしてきました。

パーキンソン病の方にもたくさん接してきました。

そして今も日々パーキンソン病の方々と出会い、お話をし、何とか少しでもQOLを上げるように私なりに努力しているつもりではいます。

でもパーキンソン病の方の発症から、5年後、10年後、20年後、30年後と経過するにつれ患者様たちは本当に様々な苦しみを経験されるようになります。

解決できない問題は山積みで、それでいて新たな問題がどんどん出てきます。

患者様から外来診療でご相談される内容の多くは

パーキンソン病の方に多く見られる症状であり

私はいつも

「それは残念ながらパーキンソン病を長期間患うと出てくる症状なんです」とお答えします。がっかりされる人、納得される方、何とかそれを改善できる方法がないのか模索される方。

そんな時に、本当に医療は無力だなと感じます。

神経難病と言えば、ALSという疾患も代表的な変性疾患で現代医学では治癒させることはできません。

パーキンソン病も同じように治癒は不可能です。

少しでも進行抑制するものが何十年も前から研究されていますが、はっきりした効果を持つものは未だありません。


安楽死という選択。

自分がもし神経難病にかかった時、その選択を考えるのだろうか・・・。

日本でも手続きを踏めば安楽死が認められて欲しいと願うのだろうか・・・。

医者としては安楽死というものを肯定も否定もできないというスタンスでいます。

でもいち患者として何を思うのだろうと考えさせられました。


安楽死を選択されたその女性の冥福をただただ祈るばかりです。

日本にいる私たちができることは、不運ながら不治の病にかかられた方が、少しでも安心して日々の生活を送れるようそれをサポートすること。

食事が自分で摂れない、排泄を自分ですることができない、

その状態がどれほど辛いことであるのか、そのことはいつも肝に銘じて医療に向かいたいと思っています。


最近ではパーキンソン病の方専用の医療施設の普及も進んできました。

またまだ知られていないかもしれませんが

パーキンソン病の方々を専門的に看護するPDナースという資格も存在します。

当院でも一人の看護師が遠くまで出向いてその資格を取得してきてくれました。

開業からずっと共に働いてきてくれた看護師ですが、嬉しい限りでした。


安楽死についての答えは私には正直ありません。

先ほども言いましたが肯定も否定もありません。

ただただ今を生きている神経難病を始め難治性の疾患を持つ患者様たちが少しでも

安心して明日に向かえるようにそれを常に思い日々精進するつもりでいます。


















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